相続税申告委嘱契約書
 
 委任者(以下、甲という)は、被相続人 故      氏に係る相続に関し、受任者(以下、乙という)と下記の通り契約を締結する。
        
第1条 委任業務の範囲
 本件相続税に関する税務相談,税務代理及び税務書類(相続税申告書,延納申請書,物納申請書その他相続税の申告に関する届出書)の作成
 
第2条 資料の提示
1 甲は,上記委任業務の遂行に必要な説明,書類,帳簿その他の記録(以下「資料等」と
いう。)をその責任と費用負担において乙に提供する。
2 甲は,乙から資料等の請求があった場合には,速やかに提出しなければならない。資料等の提出が乙の正確な業務遂行に要する期間を経過した後であるときは,それに基づく不利益は甲において負担する。
3 甲の資料等提供の不足,誤りに基づく不利益は,甲において負担する。
4 乙は,業務上知り得た甲の秘密を正当な理由なく他に漏らし,又は窃用してはならない。
 
第3条 説明事項の確認 
 甲は乙から後記の説明事項の説明を受け、これを確認する。
 
第4条 報酬の額
1 税務代理および税務書類作成報酬は,別紙乙の定める報酬規定の範囲内で双方協議の上定める。
2 乙が第1条に定める業務に伴い資料等の収集その他特別な事務に従事する場合には,甲は乙に対して乙の定める報酬規定による日当,旅費及び宿泊料を別に支払う。
3 第1項の報酬は,弁護士,司法書士,不動産鑑定士等の費用を含まない。
4 甲の都合により委任事案の着手前にこの契約を解除したときは,甲は既に支払った報酬の返還を請求しない。また,着手後に解除したときは,甲は乙の請求した報酬の全額を直ちに支払い,乙が甲に対して交付した書類の全部を乙に返還する。
 
第5条 財産の評価
 相続財産の評価について,甲の希望により不動産鑑定士その他評価鑑定人に依頼する場合には,その鑑定評価額により評価し,また,書画骨董など専門的知識に基づいて評価するものは,古物商その他の鑑定評価人による評価によるものとし,その鑑定費用は甲の負担とする。
 なお,評価鑑定人による評価に基づく相続税の申告に伴う不利益は,甲が負担する。
 
第6条 情報の開示と説明
 乙は,甲の委任業務の遂行に当たり,とるべき処理の方法が複数存在し,いずれかの方法を選択する必要があるとき,並びに相対的な判断を行う必要があるときは,甲に説明し,承諾を得なければならない。
 
(特記事項)
 
 
 以上の委嘱契約を明らかにするため本契約書を作成する。
 
        平成  年  月  日
 
 
          委任者(甲)住 所
 
                相続人                印
 
 
             (甲)住 所
 
                相続人                印
 
 
             (甲)住 所
 
                相続人                印
 
 
             (甲)住 所
 
                相続人                印
 
 
             (甲)住 所
 
                相続人                印
 
 
 
          受任者(乙)所在地
 
                     税理士           印

 

 

              説明事項
 
1.遺 言(民法1004条)
 遺言書がある場合は必ず提示下さい。
 尚公正証書以外の遺言書(例えば自筆証書遺言書)は住所地の家庭裁判所で検認手続きを経て、更に封印された遺言書は開封して貰って下さい。
2.相続の放棄(民法938条)
 相続の放棄をする場合には、相続開始を知った時から三カ月以内に家庭裁判所へ相続放棄の申述をする必要があります。
 相続放棄をした者は
  債務控除の適用は原則ありません。
  生命保険金及び退職金の非課税の特例は受けられません。
  遺贈により取得した財産がある場合でも相次相続控除の適用はありません。
3.生前贈与加算(相続税法19条)
 相続開始前三年以内に被相続人から財産の贈与を受けているときは、その贈与財産については相続財産に取り込んで相続税を計算することになっています。
 対象となる過去の贈与税申告書の控をご提示ください。
4.配偶者の税額軽減(相続税法19条の2)
 配偶者が相続税の申告期限までに遺産分割により取得した財産についての相続税額が税額軽減されるという制度です。
 すなわち、申告期限までに遺産分割の終了していない部分についてはこの制度の適用は有りません。
 その後遺産分割が行われ、この適用を受けることが出来るようになった場合は、遺産分割が行われた日から四カ月以内に既に納付した相続税の還付請求(更正の請求といいます)をすることになります。この場合遺産分割は原則として申告期限から三年以内に行われることが必要です。
 配偶者の税額軽減の適用を受けるためには、申告書の提出が要件とされます。
 この制度の適用で、特にご注意頂きたいのは、被相続人の相続財産を意図的に計上せずに申告をした場合などについては、その後それら財産が漏れているとの指摘を受けますと、たとえ、その財産を含めたところでこの制度を適用すれば、税額の軽減が受けられる場合であっても、その財産については、以後の申告ではこの適用ができませんのでご注意ください。
5.相次相続控除(相続税法20条)
 相次相続控除は、10年間に2回以上相続税がかかると相続人の税負担が重くなり過ぎる恐れがありますので、第一次相続の時に課税された税額を第二次相続の相続人の税額から控除する制度です。このため被相続人が10年以内に相続により財産を取得し納税されているようでしたらそのときの相続税の申告書(修正申告書などを出されていればその申告書)をご呈示ください。
6.障害者控除(相続税法19条の4)
 相続人等が70歳未満の障害者である場合には、その方の生活保障の観点から一定の税額を控除する制度です。該当される方がいらっしゃいましたら、身体障害者手帳等の写しをご提出ください。
7.小規模宅地の評価減(措置法69条の3)
 土地の評価に当たって居住用の宅地と事業用の宅地について特別の軽減をする制度ですが、この特例の適用を受ける者の選択、同意が必要です。
 またこの制度は遺産の取得者によって適用の有無が左右されます。すなわち分割が完了していなければこの適用は受けられませんので、ご注意下さい。
8.農地の納税猶予(措置法70条の6)
 納税猶予の制度は、農業経営を安定させるため、相続人が農地(贈与税の納税猶予された農地を含む)を相続して引き続き農業を営む場合には、相続税の一部の納税が猶予される制度です。適用を受けるための要件は次のとおりです。
(一)被相続人が当該農地についてその死亡の日まで農業を営んでいたこと
(二)相続人が、相続税の申告書の提出期限までに相続により取得した農地にかかる農業経営を開始し、その後引き続きその農業経営を行うと認められる者として農業委員会が証明したこと
(三)農業相続人は、この特例の適用を受ける農地を相続税の申告書の提出期限までに分割取得されていること
(四)被相続人から相続した農地のうち、その農業相続人の選択により相続税の申告書の提出期限までに申告し、この特例の適用を受ける旨の記載があること 
(五)相続税の申告期限までに納税猶予分の相続税に相当する担保を提出すること                などです。
9.延納物納(相続税法38条、41条)
 延納・・相続税の申告により納付すべきことになった相続税額が10万円を超える場合で一定の場合には、担保を提供して通常20年以内の年賦による延納を申請することが出来ます。この申請は原則として申告期限または納付すべき日までにする必要があります。
 物納・・相続により取得した財産のほとんどが不動産であるなど金銭納付することが困難な場合などに金銭納付に代えて、相続税の課税価格の計算の基礎と成った財産によって物納の申請をすることが出来る制度です。物納申請することが出来る財産は国債、不動産など一定の財産に限定されます。物納申請は延納と同様に、申告期限または納付すべき日までに申請しなければなりりません。
10.連帯納付義務(相続税法34条)
 相続税の納付は、それぞれの財産を取得した者が納付するのが原則ですが、相続税を納付すべき相続人のうちに相続税の納付をしなかった者がいる場合には、次の財産取得者である相続人に連帯納付義務が発生します。
(一)被相続人から相続遺贈により取得した財産にかかる相続税につき、その財産を取得したすべての者
(二)被相続人の負担する相続税につき、その被相続人から相続または遺贈により財産を取得したすべての者
(三)相続税の課税価格の計算の基礎となった財産が贈与、遺贈及び寄付行為された場合、その贈与等の財産に対応する相続税額につき、その財産の取得者。
11.未分割の場合(相続税法55条)
 遺産分割協議が調わない場合にも、未分割財産を相続人が法定相続分により取得したものとして相続税の課税価格を計算して申告しなければなりません。
12.所得税の確定申告(所得税法124条)
 被相続人が確定申告書を提出する義務がある者である場合には、相続人は被相続人が死亡した日の翌日から四ヶ月以内にその確定申告書を提出しなければなりません。
13.その他
 相続税の申告におきましては、被相続人の相続財産のすべてが対象になります。たとえ名義が奥様、お子様やお孫様になっている場合であっても、被相続人が管理・運営されているなど実質的に被相続人の財産であるものはすべて入りますのでご注意ください。
  次頁に相続税の申告に必要な書類の一覧をあげておきますので、ご用意ください。
 
       相続税申告に必要な書類
 

  提    出    書    類          

部数

チェック

被相続人の除籍謄本

 

 

相続人の戸籍謄本

 

 

遺言書の写し

 

 

遺産分割協議書

 

 

遺産分割協議書に押した実印の印鑑証明

 

 

被相続人の経歴・病歴・人柄等の概略書

 

 

相続人の職業(勤務先)・生年月日・住所・電話番号等
の概略書


 


 

相続鋭の申告期限迄に遺産分割ができなかったことについ
ての特別の事情がある場合(和解・調停・裁判の申し立て
・訴えの提起等)には遺産分割ができなかったことを証明 
できる書類の写し




 




 

相続を放棄した方があるときは、家庭裁判所の証明書

 

 

未成年者がいる場合、特別代理人であることを証明する書顆

 

 

固定資産税評価証明書(固定資産税課税台帳登録証明書)

 

 

市街地周辺農地及び市街地山林等については、付近の宅地の
固定資産税評価証明書


 


 

土地(借地権)の所在地及び地形図

 

 

農地振興地域内にある農地については、その評価証明書

 

 

貸地・貸家又は借地の場合は賃借人・賃貸人の住所・氏名・
地代家賃の明細書及び賃貸借契約書の写し


 


 

被相続人の過去三年間の所得税確定申告書、決算書等の写し控

 

 

取引相場のない株式の評価明細書
決算書類を含む法人税の申告書の写し(死亡直前期、直前々期)
及び株主名簿
 




 




 
 
 
 

  提    出    書    類          

部数

チェック

株式・公社債信託財産等有価証券の明細書または残高明細書

 

 

預貯金・借入金の残高明細書

 

 

生命保険金・退職金・未収金等の明細書

 

 

継承した債務並びに葬式費用の明細書・固定資産税住民税など

 

 

相続開始前3年以内に譲渡贈与した財産があるときはその明細
がわかる書類


 


 

被相続人が、過去10年内に相続により財産を取得しているとき
は、そのときの相続税申告書の写し


 


 

農地等についての相続税納税猶予を受ける場合はその証明書

 

 

死亡診断書

 

 


 

 


 

 


 

 


 

 


 

 


 

 


 

 

相続関係図(できるだけ詳しいもの)
 


 


 
(注)残高証明書は被相続人相続開始時現在です。